帰化の条件として、国籍法第5条第1項④「自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」とあります。

 

以前、リストラにより失業された方より、「帰化申請をしたいのですが、リストラで失業して今は失業保険をもらってます。出来るでしょうか。一人暮らしです。」と相談されました。

原則として、この場合帰化申請することは出来ません。こういう事例は、新規に就職して収入があるようになってから申請するのが一番いいので、「早く仕事を探して就職してください」というしかありません。

しかし失業中だからといって絶対出来ないということではありません。

過去に申請して帰化ができた事例ですが、本人の意思ではない失業で、明らかに後の就職の見込みがある場合で、失業であっても何らかの資格を取るために国からの補助で専門学校などに行っている場合、たくわえがある程度ある場合など認められたケースもあります。

さまざまな要因を総合的に判断しますので、失業中は絶対にできませんということではありません。ただ個別の内容によりますので、ぜひ一度専門家に相談してください。

 

これとは逆に、順調に書類集めも終わり、さあ申請というときになって、ご本人から「仕事を辞めました。」と連絡を受けました。「えーーっ」ですよね。自己都合で退職され、一人暮らしされている場合です。

帰化申請するので仕事を辞めることが不利だということは十分にわかっているはずなんでしょうが、ご本人にやむにやまれぬ事情があったんでしょう。

もちろん今回の帰化申請は見合わせました。無理して申請しても不許可になることはわかってましたし。法務局でも申請は見合わせるようにとアドバイスをしてくれました。

 

このような場合でも当事務所は最後までお世話をします!追加料金はなしです。ただ、今回の失業は自己都合なので期限が切れた書類代金はご本人様にご負担していただきます。

「就職されたらいつでも連絡してくださね。」とご本人様にお伝えしてから連絡を待つこと1年。

ほとんど忘れかけたころ、弾んだ声で就職しましたと電話がありました。

実際には6ヶ月前に就職されていたのですが、「源泉徴収票とかがあったほうがいいでしょ!」と源泉徴収票が発行されるまで待っていたそうです。

そうなんです、もちろん仕事をしてないより働いているほうがいいのですが、新規の就職はやはり6ヶ月くらい働いてからのほうがすぐにまたやめるのではないかと思われるよりいい印象になると思います。

1年ぶりですがに無事に帰化が出来て本当によかったです。期限が切れた書類もちゃんと自分で揃えられていました。

 

このケースのように、何かの事情で失業になった場合でもあきらめずに一度相談してくださいね。