帰化申請をしたいけれど、同居している親や兄弟姉妹、子どもさんから収入に関する証明書をもらうことができないのですが・・・という相談をよく受けます。

帰化の条件のひとつである、生計条件(国籍法第5条第1項第4号)は、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」と記載されています。

この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので,申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。

 

生計を一にするとは、所得税基本通達 2-47 に記載がありますので参考にしてください。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/01/07.htm#a-05

(国税庁ホームページ)

 

所得税基本通達2-47 

法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

 

帰化申請の場合は、申請をするのがご本人1人で会社員であっても、同居している親族が自営業者や会社役員の場合には確定申告書や納税証明書など帰化申請をする場合と同じくらいの書類が必要になり大変手間がかかります。

そのため当事務所では、会社員1人が帰化申請をする場合でも世帯の中に個人事業主や会社役員がいる場合は、会社員料金100,000円(税別)ではなく個人事業主・会社役員料金の135,000円(税別)になっています。

国籍法第5条第1項第4号は、帰化申請をする方の収入が少ない場合にはとてもありがたい条項なのですが、同居の親族のご協力が得られない場合については困りますよね。

 

この件に関して、先日法務局で問い合わせたところ、やむをえない理由があれば親族の所得に関する書類がなくても申請ができる言われました。

しかし、「やむをえない理由」とは何なのか?、やむをえない理由に該当しなければ取り下げになるかもしれないし、何よりもその理由を言いたくない場合もあるだろうと考えるとどうしても帰化したいけど家族の協力が得られない時は、生活能力があるのなら家を出て独立するか、そうでなければ家族を説得するのがいいのかな・・と思います。