帰化申請のご依頼の際には、帰化要件を満たしているかどうかのお話をさせていただいていますが、親御さんのことになると、婚姻届を出したのがいつで、どこの役所へ出したかなどをすぐに答えられる方は少ないです。

本来は、韓国籍の方が結婚したときは韓国に婚姻を申告すればいいので、日本の役所へ婚姻届提出が絶対必要なわけではありません。

韓国の戸籍を請求しても、親御さんが韓国に婚姻を申告していなくて、韓国の戸籍上親御さんが独身のままということもあります。

また、戸籍を請求して初めて、実は親御さんの結婚が2回目で、ご自身に異母・異父兄弟がいるのがわかって驚かれるということもあります。

一番めんどうなのは、韓国に婚姻の申告をした後に夫が行方不明などになってしまい、韓国に離婚申告ができていないまま、新しい父が子供を認知した場合です。

帰化申請を受理する法務局では、民法第722条により、父親がどちらなのかはっきりしてくれと言われます。

父親がどちらなのかをはっきりさせるために、家庭裁判所における親子関係不存在の訴えという手続きがあります。

帰化申請での親子関係不存在の訴えにおいては、「〇〇が父親」ということではなくて、「△△は父親ではない」という判決でもかまいません。

ここで、つまづくのは裁判費用です。

事案によって裁判にかかる費用も異なりますので、一律にいくらというわけではありませんが、弁護士に現金で支払う人、法テラスに分割で支払う人、金額によっては裁判をあきらめる人などいろいろです。

家庭の事情によって母親が裁判に協力しない場合もあります。

ご自身が帰化の要件を満たしていても親の協力や経済面で帰化申請ができなくなる場合もあります。