帰化申請の面接でよく聞かれる事項
帰化申請の手続きにおいては、法務局において面接が行われますが、面接の際によく聞かれる事例をまとめました。(行政書士が面接にたちあうことはできませんので、依頼者の方からお伺いした内容です。)
下記以外にも、申請される方のご事情によって質問される内容が異なります。当事務所では、面接前に行政書士が質問を予想して、面接の練習をさせていただきます。
家族関係について
現在の家族関係について(家族構成や日本に来た経緯など)聞かれるようです。これは、帰化するための偽造結婚でないかを調べたり、書類だけの家族関係でないかという点を確認するためといえるでしょう。
例えば、二人が結婚した経緯とか、結婚式をした式場、子供が生まれた病院の名前、両親から他に兄弟がいるとか聞いたことはないかなどです。
出生時の話や、また生年月日が一致しない場合などは、ご両親が健在なら、「問い合わせてもいいか」と聞かれることもあります。
両親には両親が結婚した時の経緯や生んだ子供の生年月日などを聞いているようです。
日本と特別な関係を有する外国人(日本人の配偶者)については,帰化の条件を一部緩和して優遇されています(国籍法第7条)ので、日本人と婚約中、同棲中のカップルは帰化申請に際して入籍を前倒しされる方もいます。
入籍をしていなくても日本人の婚約者がいる場合は面接に呼ばれることがあります。その場合は戸籍謄本などの書類を要求されたりします。同棲中の場合は生計をひとつにしていますので、給与明細書、源泉徴収票などの書類も必要です。その他法務局が要求する書類を提出します。
親子間、兄弟姉妹の間でも付き合いがない方もいますので、親族の概要では住所、職業等「不明」交際無と記載しますが、場合によっては理由を聞かれたりします。
親族が刑務所や少年院に入っている場合も理由を聞かれることがあります。住所でわかりますから・・・聞かれたことは正直に答えてくださいね。あくまでも帰化をするのはご本人ですので。
暴力団に関しては、家族に暴力団がいれば親族も暴力団ではないかという考えのようですので、暴力団に関してはかなり厳しいです!
出生時のことを聞かれることがありますが、当人も赤ちゃんですから分からない方が多いです。知らないことは「知らない」でよいので、とにかく正直にお話することが大事です。
自営業の内容について
帰化を申請される方が個人事業主の場合、収入面のことやどういう事業を行っているのかという点を聞かれることが多いようです。帰化申請の際には、申告書を添付書類として提出することになりますが、利益が少ない場合「利益が少なくてどうやって生活するのか」などつっこんだ質問をされることがあるようです。その場合は、現在の預貯金額を伝えて、預金を崩して生活している等、生活費の捻出方法についてきちんと説明を行う必要があります。面接の際に通帳持参が必要となる場合もあります。
自己破産について
過去の自己破産について聞かれます。
帰化申請書類には自己破産をしたかどうかを記載する欄はありませんが、申請時に、「今までに自己破産をしたことがありますか」と聞かれることがあります。
その時にかなり以前に自己破産をした場合は受理してもらえますが、面接ではいろいろ質問をされます。
しかしながら自分ではかなり以前であったと思っていたけど、数年前であったことがわかれば取り下げを勧められることもあります。
また、自己破産でも免責されているから自己破産ではないと勝手に思い込んで、「自己破産はしていない」と言った後に自己破産をしていたことが分かれば、虚偽の申請になります。その場合も内容によっては取り下げを勧められることがあります。
自己破産をしたから帰化申請ができないわけではありませんが、せっかく書類収集して申請し、面接までこぎつけたのに、自分の思い込みで取り下げや不許可になる場合もあるわけです。過去に自己破産をしたことがあるのでしたら、なるべく正確な情報で法務局と事前相談することをオススメします。
賞罰について
特に、刑罰を受けたことや重大な交通違反をしていないかという点が確認されます。この点についても自己破産と同様、刑罰を受けたり交通違反をしていたら必ずしも帰化申請ができないという意味ではなく、個々人の状況によって判断されますので、法務局での事前相談が必要です。
事前相談では申請を受け付けるかどうかをだいたいの目安で判断します。それで申請ができる事案であればそのまま申請できますが、場合によっては取り下げを勧められることもあります。
また、事前相談ではちょっと難しいといわれた事案でも申請は受け付けてもらえます。事案だけでは多少問題があっても総合的に判断されて帰化許可がおりることもあります。
履歴書には「賞罰」としか記載してませんが、帰化申請の場合は就職用の履歴書の「賞罰」とは少し異なるところがあります。
就職用履歴書の賞罰の「罰」は刑法犯など過去に犯罪歴のある場合のみ記入します。未成年時の少年犯罪は記入の対象になりません。
しかし帰化申請の「罰」は、刑罰だけではなく交通違反も未成年の少年犯罪(少年鑑別所入所歴など)も記入するよう指導されます。
業務上過失傷害などに問われた経験があれば、記入の対象になります。風俗営業法違反はかなり厳しく判断されますので注意が必要です。
「万引きをして補導されました」という場合は特に記入するようには言われませんでしたが、万引きも窃盗ですから、補導だからいいだろということではなく、
申請時や面接の際に何かないですかと聞かれてびくびくするより、はじめから記載していたほうが気分的には楽になると思います。
もちろん、申請時や面接では事細かに質問されます。事情もあるかもしれませんが、言い訳ではなく、反省の気持ちが重要だと思います。
前科や前歴は調べればデータに残っていますので、はじめから正直に自己申告をするほうが心証がいいと思います。
交通違反は、過去5年簡の運転記録証明書に記載している違反を記入します。違反が多いと法令遵守の気持ちがない危険人物と判断されます。人身事故や物損事故をおこした場合は示談書を要求されます。
次に「賞」ですが、賞の肩書きでも、大会や催しの社会的認知度が高いものを記入します。大会・催しの主催者が民間か公的機関かは問いません
ずっとボランティアをやっていたことを面接でお話したところ、「えらいなぁ」と褒められたと、申請者の方がうれしそうにお話されてました。
ボランティアは自慢したり褒められるためにやっているわけではないのでしょうが、ずっと継続して行っているボランティアなどは記入すると印象がよくなるかもしれません。
日本に住んでいる日数
海外での生活日数が多いと日本国籍を取得する必要がないという考えだと思います。特別永住者の資格をお持ちの方は3年間、その他の在留資格の方は5年間、日本に居住している日数が海外で居住している日数よりも多い必要があります。一定の期間を満たしていない場合は、帰化申請をすることはできません。個々人の状況によって判断されますので、法務局での事前相談が必要です。なお、近い将来留学を予定されている場合は、留学中に帰化を申請することはできませんので、留学前余裕をもって帰化を申請するか、留学後に帰化申請を延ばすかどちらかが必要です。
生活保護について
生活保護受給者は帰化申請ができませんが、一部生活保護を受けているなどの場合は帰化申請ができる場合もあります。個々人の状況によって判断されますので、法務局での事前相談が必要です。