長年業務を行っていると、帰化申請をして不許可になった方の相談やお話もお伺いする機会が時々あります。

平成24年の帰化許可申請者数は 9,940人で、 帰化許可者数 10,622人(内訳は韓国、朝鮮籍の人が5,581人、中国籍の人が3,598人、その他が1,443人)、不許可者数は457人です。

http://www.moj.go.jp/MINJI/toukei_t_minj03.html 法務省ホームページより

不許可になった方にお話をしてみると、何度か法務局からの取り下げ要請があったとのことです。法務局はけっこう親切ですから、申請を受理しても、あきらかに不許可になる場合は、いったん取り下げて条件が整った後申請をしたほうがよいとアドバイスしてくれます。そのまま取り下げずに不許可になると、履歴も残りますし、何年かたたないとすぐには申請ができません。

実際にお伺いした事例では、

申請者の方の初婚が偽装結婚だと疑われたことが原因だったようです。日本人配偶者の在留資格が切れて申請に行かなければならないのに、夫が行方不明でオーバーステイになり強制送還になっていました。

それから、何年かたって日本人配偶者で再び入国して数年日本で生活をして住所要件等は満たしていたため帰化の申請になったのですが、面接の際に夫の話があいまいだと判断されたのではないかと思います。

この場合も途中で取り下げを進められたそうですが、本人は身に覚えがないからと取り下げませんでした。結果不許可だったのですが不許可の具体的理由は記されてないとのことです。

また、このような事例もありました。

帰化申請後に、法務局で行われた面接で、自己破産をしたことがあるという事実を打ち明けた方も、後日法務局から取り下げをすすめられたそうです。本人は騙されて借金をした自己破産なので自分は悪くないと主張し、取り下げしなかった結果、不許可になったということです。

いろいろな方のお話を聞いていると、法務局の調査の段階で帰化が不許可になるおそれがあるものは、「取り下げ」の提案と言う形で事前に知らせてくれているということがわかります。

ご自分で申請をすると、法務局からの取下げの提案を冷静に受け止めることができず、その結果「不許可」という履歴を残すことになってしまったという方もいるようです。

帰化申請については、許可されるかどうかおおよその見通しがつくというメリットから、専門の行政書士に事前に相談・依頼することをオススメしますが、万が一、ご自分で申請して法務局がら「取り下げ」を勧められた時は素直に取り下げ、原因が分かるようであれば条件が整った後申請するといいですね。