帰化申請をする際には、申請書に「親族の概要」を記載する必要があり、一定のご親族に関する情報を記載する必要があります(例えば、配偶者、ご両親、お子様、兄弟姉妹、配偶者のご両親)。
ご親族に関しては、名前・年齢・職業・住所等を記載する必要があり、名前については、韓国籍の方でしたら韓国の戸籍に記載されているとおりに、日本人の方あるいは韓国籍だったけれどもすでに日本国籍に帰化されている方については日本の戸籍に記載されているとおりに書く必要があります。
ご親族の方が多数いたり、ご親族であまり交流がない方がいる場合などは、「親族の概要」をまとめるのも一苦労です。
日本国籍の方でも、わざわざ戸籍を本籍地のある役所から取り寄せてご覧になるということは少ないですが、外国籍の方はもっとご自身の戸籍をご覧になる機会は少なく、帰化申請の前に戸籍を取り寄せたときにはじめて見た、とおっしゃる方も多いです。
ご自身の本国の戸籍を初めてじっくりと見て、実はご両親に離婚歴があることが判明したり、兄弟姉妹が幼い時に亡くなっていることが判明することもあります。
以前、帰化申請の手続きをご依頼いただいた方で、お母様が依頼者の方を出産されたあとすぐにお亡くなりになり、ご自身のお母様について何もわからずに何十年もずっと過ごしてこられた、という方がいらっしゃいました。帰化申請を行うにあたって、生まれた病院などを手掛かりにして、日本の役所で出生届記載事項証明書を取得したところ、ご両親の名前、当時の住所、本籍地、生まれた時間、体重などが記載されていました。
すぐに依頼者の方にメール添付して送信しましたところ、ご自身を生んでくれたお母様のことを書面を通じて知ったとき、体が震えて涙が止まらなかったと、とても喜んでいただくことができました。長年帰化申請の業務に携わっている私も、依頼者の方がお喜びになっているのを見て、自分のことのようにうれしい気持ちになりました。
帰化申請は日本国籍を取得するための手続きですが、準備するなかで思わぬ発見をしたり、ずっと知りたいと思っていたご自身のルーツを知ることができることもあります。