帰化許可申請に必要な書類、生計の概要(その2)には預貯金の預入先の記載が必要です。

なお、帰化は家族単位で申請するため、収入についても家族全員分を記載しなくてはいけません。

国籍法第5条1項②では「自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことが出来ること」と記載されています。

収入は給料や事業収入だけではなく、赤ちゃんや児童の手当てや学生のアルバイト、年金も記載します。

預貯金の預金先も、以前は家族全員分記載が当たり前でしたが、最近は個人情報があるからなぁ・・・と前ほどは言われなくなりました。

それでも帰化申請をする場合は、預金があるのなら記載するにこしたことはありません。

相談者の方に、「いくら貯金をおもちですか?」と聞くのですが「いくらくらい書いたらいいのでしょう」と税務署を意識しているような返答をされることがあります。

預金もないのにあるように書いても、法務局から「面接日に通帳をもってきてください」と言われる場合もありますので、虚偽の記載はダメです。

法務局では、帰化申請をすべての人に通帳を持って来いと言っている様ではないですが、高額預金者は持って来いといわれる場合が多いようです。収入が少ないので預金を切り崩して生活をしている人もよく言われます。

以前、面接の日にばったりあった方は5000万円分の通帳を用意していました。

貯金が1億円あるという人も持って来いといわれたようです。収入に見合わない額の預金がある場合のお金の出所の調査なのでしょうか、大変気を悪くしていました。預金が多くてもいいというわけではなさそうですね。

実際にあったエピソードをひとつご紹介。

100万円預金があるという人の申請をしました。20代ですし、そんなものかなと思っていましたが、ある日電話があって「面接の日に通帳を持って来い」と言われたそうですが、実際は100万円は持っていないということでした。

ご本人は、多いほうがいいと思って書いたと言うのです。「どうしたらいいでしょうか」と言われても「謝るしかないですよ!」と答えるしかありません。

その後…彼は無事に帰化することが出来ました。ちゃんと法務局で謝ったのでしょう。

また別のエピソードですが、法務局に面接で通帳をもってこいとは言われなくても、奥さんに自分が持っているお金がばれて夫婦喧嘩になったという話をお聞きすることもありました。

最近申請書類を作成しながら思うのは夫名義の預金額は少ないのに妻名義の預金額はけっこうは多いということです。

住宅ローンや生活費は夫の口座から引き落とされるので妻のほうがお金持ちなんですね。生計は一かもしれませんが、名義事情、家庭事情もいろいろありそうです。

くれぐれも、預貯金預入先記載の際は正直に書いてくださいね。