私が行政書士として開業した19年前は、今のようにホームページで帰化申請と検索するだけで帰化に関する情報を調べることや、帰化申請の依頼先まで選べ、見積もりも取れるということはありませんでした。
以前は街の看板や電話帳、知り合いの紹介などが主流でしたから、専門家から高額な報酬を請求されても、紹介者に悪いという思いもあってか、依頼者の方がびっくりするような報酬を払ったと言う話を聞くことがありました。(1人100万円っていう話も聞いたことが・・・びっくりです!)
帰化というのは日本国籍を買うようなものだ、というステータスのような風潮もあったのでしょうか。日本国籍は高額で買うという発想なんでしょう。たしかに、当時は書類も今より煩雑で、露骨に近所に○○さんはどういう人か、とたずねていたようなので、ハードルが高かったというのもあるでしょう。
私が帰化申請の仕事をはじめた当初、帰化申請を依頼される方に帰化の動機をお伺いすると、ほとんどの回答が差別でした。
今でも「日本人と結婚するので帰化したい」とおっしゃるケースが多いのですが、かつては相手の親御さんに日本国籍を取得したら籍に入れてやると言われたという話をよく耳にしました。(相手の親御さんがお堅い職業の父親で、外国籍のまま結婚することに反対されていたようです。)
そのころは、特別永住者の方も帰化の動機書が必要であり、本音として動機書には差別されたことを書きたいとおっしゃってました。
また、今はすごく優しい大阪法務局の相談員さんたちも、以前は「怒られているのかな・・・」と思うような話し方をされることもあり、帰化したいけど怖くて法務局に行きたくないと言う理由で、私に帰化申請を依頼するとおっしゃる方もいらっしゃいました。
私たち行政書士にとっては、相談員が怖いほうが仕事としては増えるのでしょうが・・・。
ひょんなことから、在日韓国人の方の仕事をすることになった時に、情報収集の一環として民団に行ったのがきっかけで、日本の行政事情に詳しい専門職ということで、お互いの国の制度や趣旨などのついての情報交換を始めたのが民団とのお付き合いの始まりでした。
民団は当然帰化を推奨するものではありませんが、時代がなぁ・・、とおっしゃっていました。
私はまったく韓国とは縁もゆかりもないのですが、たまに苗字が一文字なのと帰化の仕事をしていますので、韓国籍ではないかと思われていることもあります。
韓国では苗字に使える字が何種類かあってつける苗字が決まっているそうです。
峰という苗字はその中にはないらしく「あんたは、日本人だろ」と言われたことがあります。
共通点といえば、韓国の女性は働き者でパワフルなので、そこのところは自分によく似てるなかなぁと親近感を感じます。韓国の女性とお話してると話も弾んで楽しいです。
帰化の仕事をして思うのは、根源は戦争にあり、私たちにとっては歴史の教科書の1ページと思ってた戦争を今でもずっと引きずって苦しんでいる人もいるということです。
帰化申請といってもいろいろな人がいてさまざまな問題はありますが、できる限りのことはやっていく所存です!